フランスで犬と暮らし始めた!

マヤ(犬♀)との暮らし

今日は、先日施設から引き取って一緒に暮らすことになった、犬のマヤをご紹介します🐶

犬と暮らすことになったきっかけ

フランス全土の状況は定かではありませんが、ここシャモニーに限っては、まさに犬天国と言ってもいいほどあちこちで犬を見かけます。

目抜き通りのパッカール通りを歩けば、数メートルごとに様々な犬とすれ違います。

みんなお行儀がよく、飼い主の横をトコトコ歩いている姿は何とも様になります。

ペットフレンドリーなホテルや施設も多く、犬は家族の一員として当たり前のように行動を共にしています。

古くから牧羊犬や狩りの重要な仲間として人間と生活を共にしてきているからでしょうか、その共存する佇まいには、日本のそれとは違う、独特の風格が感じられます。

風格とは例えば、若い女の子が大きい犬を飼いならし、主人としてきちんと従えている姿。

一朝一夕にはいかない文化の歴史のようなものを感じるのです。

 

フランスに来てから、このような人間と犬との生活を側で見ているうちに、犬と生活したいという気持ちが湧いてきたのは事実ですが、何よりも友人の犬を数日間預かったことが大きなきっかけでした。

大きくて心の優しい犬と数日間生活を共にしたことで、私たち夫婦の中で、犬と生活したいという気持ちがどんどん大きくなっていったのです。

マヤちゃんはどこからきたの?

犬を迎え入れることを考えた時に、その方法にはいくつかの選択肢がありますが、我が家は施設から引き取ることを決めました。

友人に教えられた、SPAという動物を保護している施設のウェブサイトに掲載されている犬を毎日のように見ていました。

心の中に、黒い犬、そしてそれなりに大きな犬が来るというイメージがあったので、そのような犬を意識して探していました。

 

ところでフランスはヨーロッパの中でも面積が広く、特にシャモニーはスイスやイタリアとの国境沿いに位置しているため、離れた街に行くには車でもかなりの距離を移動することになります。

フランスのSPAを見ていても、車で行ける距離にピンと来るワンコは見当たりませんでした。

 

そうこうしているうちに、ある日ふと思い立ち、ジュネーブ(スイス)のSPAのサイトを見てみました。

ジュネーブはシャモニーから一番近い都市で、車で1時間ほどです。

同じ県の県庁があるアヌシーよりもジュネーブの方が近く、空港もジュネーブ空港を利用します。

盲点だったジュネーブのSPAを見てみると、そこにマヤちゃんがいたのです。

マヤとの出会い

ウェブサイトのマヤの説明はこうでした。

「シャイな女の子。他の犬がいる環境やファミリーには適しません。静かな環境を望んでいます。」

他の犬は、「フレンドリーで他の犬や猫とも仲良くできます。」というものや、「とっても社交的で子供とも仲良くできます。」というポジティブな説明が多い中で、マヤの説明は少々気になるものでした。

何はともあれ一度会ってみたいと思い、面会の予約をしました。

 

当日、バスや電車を乗り継ぎジュネーブ郊外の施設を訪れると、たくさんの犬、猫、うさぎ!や鳥などが施設にいました。

犬は、2頭ずつほどがフェンスで仕切られたスペースにいました。

それなりのスペースが与えられてはいるものの、たくさんの犬たちがいる環境でそれぞれのストレスがあるのでしょう、みんな吠えていました。

マヤの散歩をするために係員の人と犬たちに近づくと、みんな自分が出られるのではないかと興奮して大騒ぎです。

 

散歩に行く前にマヤのことを聞いてみました。

「他の犬やファミリーに適さないと書いてありましたが、具体的に何があったのですか?」と。

すると担当の方曰く、前の飼い主の元では多頭飼いをされていたそうです。

どのような環境だったかはわかりませんが、そこで他の犬とエサの取り合いで喧嘩をし、その犬を噛み、仲裁に入った飼い主の手も噛んだそうです。

しかし、担当の人はこう続けました。

「本来は、一度に多数の犬にエサをやることは間違っているんだ。犬を興奮状態にさせて、そこに人間が手を出すことも間違っている。

あれは飼い主のミスでアクシデントだったんだと思う。マヤは本当は大人しくてすごくいい子なんだよ。説明に囚われずにそこをわかってほしい」と。

 

1時間ほど一緒に散歩しましたが、外に出られて興奮しながらも嬉しそうにしていました。

 

散歩を終え、実際私は少し不安になっていました。興奮したとはいえ飼い主を噛んだのか、と。

しかし夫は違いました。

「一緒に散歩をしていたマヤちゃんを見ていても絶対に悪い子ではないし、担当の人が言うように飼い主のミスだったんだと思うよ。マヤちゃんはかわいい女の子だよ。担当の人が言っていたことが事実だと思う」と。

確かに、マヤちゃんがどんなに興奮していても、かわいい女の子、という雰囲気が伝わってくるのです。

そうしてマヤちゃんを家族に迎え入れることが決まりました。

動物がEU内で国境を越えるためには動物にもパスポートが必要とのことで、その翌週にまた迎えに来ることになりました。

マヤの移動当日

レンタカーを借りて、再度ジュネーブへ向かいます。

初めてのフランスでの運転です。

右車線、左ハンドル、マニュアル車、と全てが日本の逆!

まさに軌道に乗るまで、途中何度もヒヤヒヤする場面がありましたが、何とかジュネーブにたどり着き、マヤを無事引き取りました。

用意したケージには(案の定)入らなかったので、トランクに乗せて、後部座席に座った夫がずっとリードを掴んでシャモニーまでの道のりを帰ってきました。

シャモニー到着!

車から降りたマヤは興奮して、離れたところにいる犬にも吠えていました。

ようやく家の中に入っても、全く落ち着きません。

ウロウロして、窓の外の音や同じアパートの廊下から聞こえてくる物音にも過敏に反応し、唸ったり吠えたりします。

私たちも、さて、どうしたものか、、、と困惑していました。

すると、少しすると用意しておいた犬用のベッドに座り始めました。

気に入ったようです。

この瞬間、何とも言えない安心した気持ちになりました。

そうして、お互いドキドキしながら眠りにつきました。

 

今住んでいるアパートはメゾネット式で、私たちは上階に寝ています。

犬には階段の上り下りは股関節に良くないと聞き、マヤは下のフロアで寝ています。

初めての朝、下に降りていくと、嬉しいのか慣れないのか興奮していましたが、ひとまず大も小もしていなく安心しました。

散歩に出ると、すかさず我慢していたおしっこをして、少ししたら大きい方の用も足しました。

事前にトイレができるのかなどの情報は一切聞いていませんでしたが(半外の施設では室内での様子などわからないと思ったので聞きませんでした)、外でしか用を足しません。

一定数の犬は自分の家の中では用を足さないそうですが、マヤもそのパターンでした。

日に日に成長!

一日一日、マヤは驚異的な成長をしています。

到着の翌日は、朝晩の散歩以外は私と二人で家の中にいて、話しかけたり長いことなでなでしたりしていたら随分と落ち着き、お腹を見せて気持ち良さそうにしていました。

ただ、外で犬が吠えたり、バイクの音が鳴ったりすると、敏感に反応し、唸ったり冷静さを失います。

大丈夫だよーとずっと話しかけてよしよししていると、次第に、外で犬が吠えていても家の中は安全なようだ、と理解し始めました。

そこで一度、吠えずに我慢できるタイミングが来ました。

その時に、ここぞとばかりに褒めます。

ムツゴロウさんのように、ものすごいよしよしをしていたところ、我慢して吠えなかったらよしよししてもらえるのか?と思ったようです。

そこから一気に吠える回数が減ったのです。

これには感動しました。

マヤは極度の臆病者だった!

マヤが気を許して体のいろいろなところを触れるようになり観察していると、鼻と下顎に噛まれた跡がありました。

上下でガブッとやられたようです。

ハゲになっていますが、周りの毛に隠れてパッと見はわかりません。

女の子なので、顔に傷が目立たなくて何よりでした。

 

マヤは、自分の身を守るために必死で戦ったんだなと涙が出てきました。

飼い主にも捨てられて、施設でじっと我慢していたのです。

 

朝晩の散歩の時に他の犬に会うと、最初は吠えていましたが、それは恐れからくる威嚇吠えでした。

ここにいるから近くに来ないでよ!ということなのでしょう。

しかし、シャモニーにいる犬はみんなそれぞれの飼い主がいて、優しい犬ばかりなことをだんだんと理解し、恐る恐るですが鼻を突き合わせたりお尻の匂いを嗅いだりする挨拶ができるようになってきました。

どうしても怖くて逃げてしまうことはあっても、マヤから噛みつきにかかるようなことは一切ありません。

一度、私にとっても怖い体験があったのですが(リードのない大きな番犬のような犬に飛びかかられた!)、その時は立ち上がって私にしがみついてヒュンヒュン泣いていました。

あの時、夫の言葉を信じてマヤを受け入れて本当に良かったと毎日思っています。

 

3歳になるマヤですが、赤ちゃんの時に必要な愛情を注がれていなかったのでしょう。

今、マヤは赤ちゃんのように甘えて、いろいろな経験を積んでいるところです。

マヤとの出会いは、私たち夫婦にとって運命だったと確信しています。